過払い金CMが増えた理由とは？CMが怪しい・詐欺・うざいと言われる理由

ここ数年、テレビやラジオCMで見聞きすることが増えた「過払い金」。ナレーターが低い声で淡々と説明したりフリーダイヤルを連呼したりするなど、特徴的なCMを見たことがある人も多いのではないでしょうか。

何かと印象に残りやすい内容なので、借金に縁のない人からは「うざい」「うるさい」と言われてしまうこともあるようです。

その一方で、最近はあまりCMを見なくなったと思いませんか？以前はあれだけＣＭを流していたのになぜ減ったのか、気になりますよね。今回は、過払い金のＣＭが増減した背景や、「怪しい」「詐欺」と疑われやすいポイント、CMで有名な弁護士事務所・司法書士事務所などについて徹底解説します。

過払い金のCMはなぜ急に増えたのか｜いつまで続く？

以前、借金の金利上限は、利息制限法と出資法という2種類の法律でそれぞれ定められていました。利息制限法では15～20％が上限でしたが、出資法では29.2％まで認められていたのです。

利息制限法の範囲を超えていても、出資法の上限は超えていない金利を「グレーゾーン金利」と呼びます。グレーゾーン金利は一応合法ではありましたが、高金利で多重債務者を生みやすいとして社会的な批判が高まりました。

このため、2010年6月18日の貸金業法改正で出資法の上限金利が20%に引き下げられ、グレーゾーン金利が正式に撤廃されたのです。これにより、グレーゾーン金利で借金を返済してきた人は、本来支払う必要がなかった利息である「過払い金」を取り戻せるようになりました。

グレーゾーン金利が正式に撤廃されたのは2010年ですが、すでに2006年には最高裁でグレーゾーン金利が違法という判決が下されています。これを機に、2007年頃から大手消費者金融を中心として利息制限法に合わせた金利の見直しが進められ、同時に過払い金の返還事例が増え始めました。

その返還額は、累計で何と7兆円を超えるほど。それだけ消費者のニーズが高かったことや、払い過ぎたお金を取り戻すという正当性もあり、大手法律事務所などが競うようにCMを流すようになりました。

出典：【貸金業関連資料】月次統計資料（バックナンバー） | 日本貸金業協会

テレビやラジオなどの広告は過払い金の存在を広く知らせるためのもの

過払い金は、自分で消費者金融へ請求しなければ戻ってきません。しかし、グレーゾーン金利や引き直し計算など過払い金関連の知識は複雑で、そもそも自分に過払い金があることを知らない人も多くいるはずです。

過払い金は、返済中なら元本と相殺して借金を減らせますし、完済していれば現金を手元に取り戻すことができます。もし、過払い金の存在を知らずに請求しないでいると、経済的にどれだけ損をするかがわかるでしょう。

さらに、過払い金返還請求は複雑で専門知識も必要なため、過払い金が発生している可能性があると分かっても、債務者本人が請求するのは現実的ではありません。弁護士や司法書士といった、豊富な経験を持つ専門家に依頼したほうが手間も少なく、より多くの過払い金を取り戻せる可能性が高いのです。

テレビやラジオで過払い金のCMが数多く流されるのは、「過払い金って何だろう」「自分にもあるかもしれない」と債務者に気付いてもらい、借金で悩む人を一人でも多く救いたいと弁護士や司法書士が考えたからだといえるでしょう。

実際、積極的なCM放映によって過払い金の認知度は飛躍的に高まったとされており、CMをきっかけに専門家へ相談して過払い金を取り戻した人も珍しくありません。

過払い金には時効がある

過払い金があったとしても、必ずお金を取り戻せるとは限りません。過払い金返還請求には時効があり、最後に返済した日から10年経つと請求する権利が失われてしまうのです。現在も返済中であれば時効の心配はありませんが、すでに完済している場合は注意しましょう。

例えば、2005年1月1日にグレーゾーン金利で借金をして、2015年5月1日に完済していたとします。この場合、2025年5月2日以降は時効が成立し、過払い金を請求できなくなるのです。

「時間があるときに請求しよう」と後回しにしていると、いつの間にか時効になって請求できなくなるかもしれません。このようなケースを避けるためにも、 CMで積極的に情報提供をすることは大きな意味を持ちます。

過払い金のCMは最近になって減った？消えた？

過払い金は、グレーゾーン金利で借金をしたときに発生するものです。2007年以降は多くの消費者金融が金利を20％以下に見直したため、過払い金はあまり発生していません。このため、過払い金を請求するには、

• 借り入れの開始が2007年以前
• 金利が20％以上
• 最後の返済日から10年以内

という3つの条件を満たす必要があります。この条件をすべて満たす人の数はある程度決まっており、それ以上増えることはありません。

過払い金の返還が増え始めた2008年には、「過払い金返還額＋過払い金を充当した元本の減額部分」は1兆円を超えていました。しかし、過払い金を請求できる人の数は返還が進むにつれて必然的に減り、返還請求件数も減少傾向にあります。

このため、当初と比べてニーズが減ったことで、過払い金のCMもだんだんと減ってきました。今後も市場の縮小とともにCMは減っていくと予想できますが、2019年時点で過払い金の返還額は未だ約1400億円もあります。

いくら過払い金を請求できる人が減っているとはいえ、約1400億円もの市場がすぐに消滅するとは考えにくいでしょう。

CMが減ったからと言って過払い金の問題がなくなったわけではありません。まだ過払い金を取り戻せる人は数多くいるはずなので、心当たりのある人は司法書士事務所や法律事務所などへ問い合わせてみましょう。

出典：【貸金業関連資料】月次統計資料（バックナンバー） | 日本貸金業協会

過払い金のCMは「嫌い・うざい・うるさい・不愉快」と言われることも

何かと印象的な過払い金のＣＭは、インターネット上でネガティブな感想を寄せられることも多くあります。たとえば、Twitterでは次のような口コミが見られました。

大変申し訳ないことなんだけど、過払い金のCM、切羽詰まらせてる感が強くて、ラジオ聴くのしんどかったりする。でもラジオは好き。有料ならCMじゃなくてフィラー音楽にできるとかあったらいいのにな… #radiko

— HAL6174 (@hal6174) August 14, 2020

過払い金のcmすげえ嫌い

— 米里 梅衛門 (@yone_umeemon) August 11, 2020

毎日毎日クレカの過払い金のCM聞かされてるから、全然使ってない私にも過払い金ありそうな気がして嫌になる

— ばぶちゃん👶🏻🍼 (@Mam27462576) August 6, 2020

ラジオ聴いてるとほんと、過払い金のCM多いな。うるさいわ

— 調査部長 (@chosabucho) July 30, 2020

テレビ見ないし一時期ラジオをよくつけてたんだけど過払い金のCMとかウザくて聞かなくなってしまった。

— ウサギ (@nekotausagi) July 27, 2020

口コミを見てみると、やはり「うるさい・しつこい・嫌だ」といった内容が数多くありました。一時期より減ったとはいえ、まだテレビやラジオで頻繁にCMが流れており、その多さにウンザリしている人が目立ちます。

ただ、こういった反応を返しているのは、ほとんどが借金とは縁のない人のようです。自分には不要な情報を何度も見聞きして、強く不快感を持つケースが多いようですね。

しかし、これだけ反応があるということは、良くも悪くも多くの人にインパクトを与えている証拠です。世の中に過払い金の存在が広まったのは、間違いなくCMのおかげなのでしょう。

ナレーターの声が怖い！早口でしつこい

過払い金CMに関する口コミには、ほかにもナレーターの声に対するものもあります。特に、低い声で早口に話す女性の声に恐怖感や不快感を抱く人が目立ちました。

過払い金CMの中には、早く請求してもらおうとして、不安をあおったり威圧的に説得したりするものもあります。落ち着いた声で誠実さや緊迫感を演出しているのかもしれませんが、聞く人にとってはあまり気分の良いものではないようですね。

最近はそういった声を意識してか、逆に明るくハイテンションな女性の声のナレーションも増えています。しかし、こちらも違和感が大きく、印象はあまり良くないようです。

たまにラジオを聞いていると、過払い金を取り戻せみたいなCMが妙に多く、ナレーションが強い口調でとても怖い。

— 福間創/HajimeFukuma (@Hajime1110) February 25, 2017

過払い金のラジオCMは早口で威圧的なので不愉快な気分になる。

— ことら (@kotora1985) December 15, 2017

過払い金返還のCMのナレーションの女のひとのテンション高いの何なのあれ

— 谷地村啓 (@yachimurakei) October 24, 2016

怪しい！詐欺では？過払い金のCM にまつわる3つの誤解

「取り戻せるお金がある」と伝える過払い金のCMに対して、怪しさを感じる人も少なくありません。もちろん詐欺ではないのですが、不安を感じたままでは過払い金返還請求に踏み出せないでしょう。

次は、過払い金CMが誤解されやすい3つのポイントと、その真実について解説します。

借金が減る・お金が戻ってくるなんて嘘ではないか？

過払い金のCMでは、「払い過ぎた利息が戻ってくる」「借金が減る」などのキャッチコピーをよく聞きます。「そんなうまい話があるわけない」と警戒し、詐欺ではないかと疑う人も多いでしょう。

しかし、過払い金返還請求・任意整理・民事再生・自己破産の4つは、借金の負担を軽くする手段として国が正式に認めています。手続きを行える人やその方法、必要書類などの詳細が法律できちんと定められており、国家資格を持つ弁護士や司法書士が関わる正当な手続きなのです。

人によっては過払い金が発生していなかったり、過払い金をすべて取り戻せなかったりすることもありますが、嘘や詐欺などではありません。過払い金が気になっている場合は、安心して専門家に問い合わせましょう。

無料診断・無料相談なんて胡散臭い

ほとんどの弁護士事務所・司法書士事務所では、過払い金の無料診断や無料相談を行っています。この「無料」も、タダより高い物はないということで怪しまれやすいポイントです。弁護士や司法書士のような専門家は、相談するだけで高額の費用がかかるイメージがありますよね。

しかし、最近はより気軽に事務所を利用してもらおうと、0～5,000円程度で相談を受けているところも珍しくありません。CMを流している・いないにかかわらず、過払い金や債務整理については何度でも無料で相談でき、過払い金があるかどうかの調査も無料というところが多いのです。

広告費の分だけ費用が高くなるのでは？

テレビやラジオでCMを流すと、それなりの費用がかかります。このため、CMを何度も流している事務所に相談すると、「広告費の分だけ弁護士・司法書士への報酬も高くなるのでは」と誤解されやすいようです。

しかし、CMにかかる広告費と報酬とは別の話。報酬については、日本弁護士連合会と日本司法書士会連合会がそれぞれ一定の基準を定めています。弁護士や司法書士は基本的にこれらの連合会に所属しているため、その基準を大幅に逸脱した報酬を設定する事務所はほとんどありません。

つまり、どの事務所に過払い金返還請求を依頼しても、報酬に大きな差はないということです。もちろん、CMを多く流しているからといって報酬が高くなる傾向もないので、相談するときに広告費を気にする必要はありません。

過払い金のCMで有名な法律事務所・司法書士事務所

テレビで過払い金のCMを流している法律事務所や司法書士事務所は、大手から中小規模まで数多くあります。自分に合う事務所を選ぶためにも、よく見かけるCMの特徴をチェックしてみましょう。

弁護士法人アディーレ法律事務所

2020年8月時点で全国60拠点以上、所属弁護士145名以上と国内トップクラスの規模を誇る法律事務所です。債務整理では、依頼者が安心して相談できるように「損なし宣言」を掲げています。

相談は何度でも無料、各手続きの目標が達成できなければ弁護士費用は返金、報酬は後払い制で利益を超える報酬負担の心配もないなど、最大限配慮されている点が魅力です。

過払い金CMの中では珍しく、落ち着いた女性の声でゆっくりと説明をし、親しみやすい絵やアニメーションを多く使っています。

CMを放送する地域や回数も多く、過払い金CMの代表的存在ともいえるでしょう。「0120-316-742（サイムナシニ）」という語呂合わせの電話番号も印象的で、いつの間にか覚えてしまった人も多いのではないでしょうか。

事務所名称	弁護士法人アディーレ法律事務所
本店所在地	東京都豊島区東池袋３－１－１ サンシャイン６０
代表弁護士	鈴木　淳巳（愛知弁護士会所属、弁護士・税務調査士）
設立	2004年10月
所属弁護士数	145人（2019年3月31日時点）
電話番号	0120-316-742（9:00～22:00、土日祝日も受付）

中央事務所（0120-10-10-10）

平成30年に開設された新しい司法書士事務所でありがながら、所属司法書士は96名、総スタッフ数450名以上という規模の大きさを誇っています。東京・大阪・九州・名古屋などに支店を構え、全国各地の過払い金返還請求に対応可能です。

年中無休で7:00～24:00まで営業しており、相談料・着手金も無料なので、仕事が忙しい人や手持ちのお金が少ない人でも利用しやすいでしょう。

過払い金のCMは、テレビやラジオで積極的に流しています。以前は最初に「ピンポンパンポン」と特徴的な呼び出し音が鳴っていたので、聞き覚えのある人も多いのではないでしょうか。

電話番号は以前の「0120-70-80-90」から「0120-10-10-10」に変わっていますが、落ち着いた声で「10、10、10」と番号を繰り返すスタイルは同じです。

名称	司法書士法人　中央事務所
住所	〒163-0287　東京都新宿区西新宿2-6-1　新宿住友ビル16階
代表司法書士	田中秀平、福間直也、根本将行
設立年月日	2017年4月21日
営業時間	7：00-24：00（電話受付）＊無料診断ダイヤル0120-10-10-10
定休日	年中無休

東京ミネルヴァ法律事務所

記者会見のようなスタイルで過払い金の受け答えをするCMの全国放送に加え、各地で無料相談会を実施するなどして、規模と認知度を広げた事務所です。過払い金の返還請求も得意でしたが、資金繰りに行き詰って2020年6月に破産しています。

その後、過払い金を依頼者に返還せず流用していた問題が発覚し、日本弁護士連合会も対応に乗り出す事態となりました。東京ミネルヴァ法律事務所で過払い金の手続きをしていた場合は、第一東京弁護士会が臨時相談窓口を設けているので連絡してみましょう。

司法書士法人新宿事務所（10-20-30）

電話番号の末尾「10、20、30」を繰り返すCMで有名でしたが、事務所はすでに閉鎖されています。かつてのテナントには別の事務所が入っており、今後CMを見たり事務所に依頼したりすることはないでしょう。

過払い金のCMに救われた人も多くいる！

過払い金のCMには否定的な口コミも多いですが、CMのおかげで多くの人が過払い金の存在を知ることになったのは事実です。

返済が難しい人や、完済後も経済的に苦しかった人にとっては、非常に役立つ情報になったでしょう。事実、2006年に貸金業法が改正されて以降、借金に苦しむ多重債務者の数は劇的に減っています。

金融庁の発表によると、過払い金返還請求が始まった2006年頃には116.9万人もの多重債務者がいました。これが2018年3月になると、8.6万人まで減少していたのです。

この結果には、過払い金返還請求で返済負担が軽減したり、経済状況が改善したりしたことが影響していると考えられます。

過払い金のCMがまったく流れず、返還請求が進まなかったとしたら、このような結果にはならなかったでしょう。過払い金CMで多くの人が救われたのも事実なのです。

過払い金のCMを見て借金問題を解決した人の口コミ・評判

実際に過払い金のCMを見て借金問題を解決した人は大勢おり、インターネット上にはさまざまな口コミが寄せられています。どのように解決したのか、参考までに見てみましょう。

十分な額の過払い金を取り戻せて満足！

家族の借金を代わりに返済するため、50万円の借金をしました。利息が高く気になっていたところ、ＣＭで過払い金のことを知ったのです。少しでも取り戻せればと思い、ＣＭを流していた有名な法律事務所に相談しました。

最初は不安でしたが、意外と優しく丁寧に対応してくれて印象が良かったです。交渉の進み具合もきちんと報告してくれ、十分な額を回収してもらえたので大満足でした。

CMを流すような有名事務所だから信用できた！

20年近くも前から借金を重ね、多いときは300万円ほど借りてしまいました。さすがに何とかしなければと思い、いろいろな事務所に相談の電話をしました。その中でも、特に対応が丁寧で信用できそうだと感じたのが、ラジオCMで耳にした事務所です。

話を聞くうちに時効についても教えてもらい、請求できなくなる前に思い切って依頼することにしました。

着手金が不要で、特にお金を準備する必要もなかったです。料金説明もハッキリしていたので、費用面での不安はありませんでした。CMを流す有名な事務所だけあって、最後まで安心して任せられて良かったです。

過払い金に心当たりがあるなら気軽に無料相談してみよう

「お金を取り戻せるかも」というCMを見ると、何となく怪しいと感じてしまいますよね。ナレーターの声や口調が特徴的だと、違和感からますます警戒しがちです。しかし、過払い金返還請求は国が認めた正式な手続きであり、決して怪しいものではありません。

「無料」をアピールしているのも詐欺目的ではなく、借金で苦しむ人が少しでも相談しやすくなるように配慮しているだけです。

むしろ、費用のかかるCMを数多く流せるのは、相応の実績があって経営状況が安定している事務所の証拠。知名度がある分おかしな対応はできませんし、口コミも多いので、まったくCMを流していない事務所よりは安心して任せられると感じる人もいるのではないでしょうか。

過払い金は、本来なら支払う必要がなかった自分のお金です。請求すれば取り戻せたのに、知らずに放置していたせいで時効を迎え、請求できなくなっては悔やんでも悔やみきれません。過払い金があるかどうかは無料で専門家に調べてもらえることが多いので、過払い金返還請求の条件に当てはまる人は、とにかく弁護士や司法書士に相談してみましょう。